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柘植周子歌集
『寂光』


 美しいものを美しく歌うことはさしたる苦労を要しない。柘植周子の歌は、人が見捨ててしまった世界の断片を掬い上げ、ことばの綾を尽くして、そこに「美」を構築する。長年のひたむきな習練がそのことを可能にした。平明な表現の中に、ふかいこの世の嘆声が聞こえる。ああなんと世界は美しいものに満ちているか、と。
(小池 光)


・雨のなか歩む幼に従へば
 菜の花いろの長靴は舟
・猫の首のあをきリボンの蝶むすび
 ほどなく解けてまひるの閑居
・夫とわれに過ぎし歳月惜しみなく
 牛乳石鹸泡立ててゐる


第5歌集
「短歌人」同人
2020年7月15日発行
四六判上製カバー装234頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
三浦利晴歌集
『月華の濤』


歌は、長い人生を丁寧に誠実に生き抜いて来た歌人の真情が骨格となって成立している。月華の濤なる一巻の題名もまた、激しい風雪を通過して来た者のみが見られる自然の一相ではないか。
(藤原龍一郎・解説より)


・舞い散れる枯葉また降る廃鉱の
 身捨つるほどの空を見ている
・臨終の目許すがしく母はいま
 あらんかぎりに雪を見ていた
・かざし見る月華の濤に望郷の
 透けゆく水のごとき過去あり


第2歌集
「短歌人」同人
2020年6月5日発行
四六判上製カバー装200頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
伊東一如歌集
『蓬莱橋』


初の本格的な歌集

 作者は奥州弘前がふるさと。ふるさとをこよなく愛す。書籍の校閲を職とす。ときに鎌倉の寺など巡り歌を成す。その歌は剛直、明快にして解釈に難儀するところがどこにもない。まことにこれは正統派の歌、しらべは隆々としてよく人となりを伝える。
(小池 光)  


・下北をあるくは十九、
 『津軽』を手に冬の半島めぐるは二十歳
・一年に百五十冊を読みしころ
 遠距離通勤たすけとなりぬ
・友と二人はじめて飲みしコーヒーは
 蓬莱橋のたもとなる店


第2歌集
「短歌人」同人
2020年5月21日発行
四六判並製カバー装216頁
定価:本体2000円[税別]
装画/パウル・クレー「薄明かり」
中扉写真/著者撮影
装幀/真田幸治
 

 
奈良橋幸子歌集
『こゑのゆくへ』


『花騒』上梓から三十三年が経ち、それはやはり、長い年月だったと思わずにはいられない。わたくしの行方、うたの行方、ということを考えた時に、ともかくまとまった形にしなければという思いにうながされ、この集を編んだ。
(「あとがき」より)  


・水の上ただひろくしてうつし世に
 みひらきし眼をかぐはしくせり
・二分咲きといふつつましさ
 つつましき母はつくづくとほき母なる
・をとめたちがわけわかんない恋といふ
 六条御息所の恋
・歳月はひそやかに過ぎ荒寥の
 眠りといふをいく度も見き
・ほがらかに異界より来て
 月を見に出でよと誘ふ 夫に応へむ


第2歌集
コスモス叢書第1175篇
2020年5月15日発行
四六判上製カバー装192頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
波多野幸子歌集
『顔 かほ』


波多野幸子は医師であり、旅人である。
地域の人たちに信頼される医師としての日々は、
即ち人生という長い旅でもある。
医師としての寸暇には実際の旅人として、
山歩きをし、花鳥を写真に収める。
アラスカ、ニュージーランドへと赴く。
その旅の日々の喜怒哀楽が
五七五七七の韻律に拠って
短歌として表現され、
ここに一巻の歌集が誕生した。
(藤原龍一郎)  


・はばからず灯せることをひそやかに
 まづ喜びぬ戦果てし日
・垣のうち小暗き処すくと立つ
 目覚めよとばかり石蕗の花
・この家に住み初めし秋が基準なり
 庭の楓の紅葉の遅速


第2歌集
「星座α」会員
令和2年4月24日発行
四六判上製カバー装258頁
定価:本体2000円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
大橋弘歌集
『既視感製造機械』


動きそうで動かない。すなわち「名詞使い」の達人──と、ぼくが感じる所以である。
(清水亞彦・栞より)

大橋は、日常に生じた裂け目を飛ぶ、あるいはその裂け目から幻視し、イメージを召喚する。
(白鳥信也・栞より)  


・トンカツの衣といえば夕闇の
 滲む速度で揚げるものです
・補助線を引こうと思うその先に
 せせらぎがありトンボがよぎる
・明け方のサーカス小屋の静けさが
 あるだろ俺の名刺の書体
・自転車のカゴというのはことのほか
 あの世この世の枯れ葉が入る
・働きの悪い奴にはあげません
 でもくださいな天橋立


第3歌集
「emotional」編集代表、「仙藥」編集発行人
2020年4月24日発行
四六判上製カバー装136頁
定価:本体2000円[税別]
カバー写真/大洲大作《光のシークエンス?Trans/Lines》より
装幀/真田幸治
 

 
林和子歌集
『ヒアシンスハウス』


 別所沼のメタセコイアの森にたつヒアシンスハウス。─著者はその守りびとである。草花が咲き、鳥がさえずり、昆虫や子どもたちがやってきて、小さな木の家に四季はめぐる。
 ヨガのインストラクターでもある著者の、天体の運行と重なる深々とした呼吸は、ヒアシンスハウスの大三角窓に、立原道造の愛した高原のさびしい村や、高校時代を過ごした広島のなつかしい人々の記憶を呼びこんでゆく。
 日常の事象を、やわらかな感覚で受けとめ、身めぐりの人と分ちあう時を愛おしみつつうたう。『カスターニェンの木』から二十年を経て編まれた林和子の第三歌集。
(小林幸子) 


・ヒアシンスハウスの外は雨となり
 鳥の図鑑を棚にさがす子
・きみ居りし場所ぽっかりと
 空きしまま夕べ静かな〈星の礼拝〉
・ワルツィング・マティルダ遠し空たかし
 落葉の庭に手を洗いたり


第3歌集
「晶」同人
2020年3月28日発行
四六判上製カバー装172頁
定価:本体2500円[税別]
装画/清水 要
装幀/真田幸治
 

 
新倉幸子歌集
『桜橋』


庭の木にあまた芽吹くを見つめいる
夫の背細し明日は定年 

夫への感謝と家族への愛がこの歌集をつらぬく主題であるので、それにふさわしい歌だと思う。素直な気持ちが表れている。夫を直接歌ったものは数としては少なく、大切にしたい一首だ。
(川田由布子・跋より)


・一年の成長の早さ見する孫の
 寝顔に触るる人差し指で
・這い這いで座布団のりこえ縋りくる
 這い這いは命あふるるしるし
・漕ぎ出でしは昭和四十五年秋
 ふたりの舟はいま凪のなか


第1歌集
「短歌人」会員
2020年3月26日発行
四六判上製カバー装174頁
定価:本体2300円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
藤原龍一郎歌集
『202X』


10年ぶりの新歌集!

時代に対する危機感を抱き、
常に抵抗の意志を投げ掛け、
多数に迎合することなく、
己の立ち位置を問い続ける。
絶望を糧として、
暗澹たる時代に撃ち込む一行の詩!


・詩人こそ抵抗の贄かにかくに
 レジスタンスの武器ぞ雨傘
・東京スカイツリーは梅雨の闇に浮き
 電波を放つ「ノゾミヲステヨ」
・読み返す『一九八四年』目の前に
 ありてあらざるそのディストピア
・寒月の蒼き光は銃後なる
 街のすべてを悼みていたり
・孤立するわが夢にして悔いにして
 数限りなく咲く向日葵よ


第11歌集
「短歌人」編集委員
2020年3月11日発行
四六判上製カバー装166頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
エリ歌集
『スタンダード』


エリさんは秘密の宝箱を持っている。
その箱の中には真珠やダイアモンドなどではなく、
素敵な綺羅めきにみちた言葉がたくさん詰まっている。
エリさんはその宝箱から言葉を取り出し、
組合せて命を吹き込む。
そうして紡ぎ出された相聞のみずみずしさ。
恋のスタンダードは、どんな読者の心にも
優しくしみ込むだろう。
(藤原龍一郎)


・図書館の隅夕焼けにも気づかずに
 没入しおりハイネの詩集
・海に差す月の匂いを知っている
 ミモザが開くミモザが香る
・言葉より熱くつきつけられるから
 冷えた右手を両手で包む

長谷川富市「新たな風として」


第2歌集
「短歌人」同人
2020年2月14日発行
四六判上製カバー装168頁
定価:本体2000円[税別]
装画/永倉万里江
装幀/真田幸治
 

 
山本秀子歌集
『冬珊瑚』


かつてあなたは港であった
長い航海を終えた人が心弾ませて帰る港
それから親しい人たちが永遠の旅立ちをした港であった
心の限り力のかぎりを尽くしてのち見送った港
もう泣いてよい、亘理の海の声が聞こえる
こらえた涙や伝えたかった言葉たちが
今しずかに、輝きながら、立ち上がる うちなる声の
渾身の第二歌集
(五十嵐順子)


・満ち足りし遥かなる日を憶う午後
 われが笑えばさくらもわらう
・ひたすらに駆け抜けゆきし一生なり
 襷をわれに渡して夫は
・自転車のタイヤに四月の空気いれ
 小学校のさくら見にゆく


第2歌集
歌と観照叢書第295篇
2020年1月29日発行
四六判上製カバー装142頁
定価:本体2200円[税別]
装画/山本誠司
装幀/真田幸治
 

 
人見邦子歌集
『風の窓』


風にゆらぎ、
時間に導かれ、
辿り着いた場所。
四季の彩りと
光と影のコントラスト、
はるかな世界に
思いを馳せ、
いつでも窓を
開いている。


・風さむき空気押しあげ立つ虹の
 足のあたりに桜が咲けり
・眼鏡形のブックマークをひとつ買ふ
 黄金小路のそぞろ歩きに
・コスモスは群れてもさびしきさまなるよ
 郷愁といふ響きふさはし


第7歌集
「短歌人」同人
2019年12月9日発行
四六判上製カバー装188頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
佐藤千代子歌集
『あれから』


これまでは未来に向かって前を見ていた
喜びも悲しみも彼方へ残してきた思いに
この頃、振り返ることが多くある
生きていれば誰にもあの時、あれからがある
そして、これからの日々にも…


・目に見えぬ風といえども草原を
 ゆく折かろき足跡を見す
・あらためて歳を数える二十歳から
 先はうろうろ 明日にしよう
・悲しみを彼方へ残し歩むほか
 無きことを知る弥生の忌日


第5歌集
歌と観照叢書第294篇
2019年11月18日発行
四六判上製カバー装198頁
定価:本体2500円[税別]
篆刻/佐藤克巳
装幀/真田幸治
 

 
青輝翼歌集
『朱雀』


 この歌集でもっぱら歌われているものは花であり木であり、天候気象であり、また日々のあえかなうつろいである。いわゆる自然詠、叙景の歌である。その地味で抑制された歌い口のなかに、生きて、この世に逢うかなしみが揺籃する。道端のちいさな一輪の花に、ふと歩みを止めて、作者とともに、そのうつくしいかなしみに見入りたい。
(小池 光)


・夕ぐれの道をあゆみて踏む花の
 アベリア白し土のおもてに
・おかあさんと呼ぶこゑのしてふりかへる
 天神地下街雑踏の中
・あゆみゆく道の半ばにけふの日の
 しぐれに濡れてわれがゐるなり


第2歌集
「短歌人」同人
2019年11月19日発行
四六判上製カバー装190頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
鈴木かず歌集
『まほろば』


都会での暮らしのなか、
折に触れ思い出す東吉野の友と景色。
そして、近づくふる里の母との別れ。
家族の歳月をやわらかく、
時に自在に掬いあげる。
1996年10月から14年あまりの作品を収録。


・膝の上のプラハの地図に揺れやまず
 白樺新樹をもれる日差しは
・頭の中の磁石の針は常に指す
 老いたる母の一人住む西
・二、三分の狂ひはうべなひ捻子巻きし
 柱時計の見下ろす昭和


第2歌集
「未来」会員
2019年11月10日発行
四六判上製カバー装184頁
定価:本体2300円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
山田泉歌集
『乾いたパレット』


山田さんの歌は、なにを歌っても明るく、向日性のところがよい。短歌の定番である、嘆き、かなしみ、苦悩の気配が少ない。たとえどんな困難、苦難、悲劇があろうとも、だ。
(小池 光・跋より)


・忘れられぬ最初と最後の勤務校は
 大東京に姿を消しぬ
・転移なしと告げる外科医のうちとけて
 寺山修司へ話題は変わる
・シャガールは僕たちと何かが違うと
 言った少年どこへ行ったの


第1歌集
「短歌人」会員
2019年10月19日発行
四六判並製カバー装166頁
定価:本体2000円[税別]
装画/著者
装幀/真田幸治
 

 
上野春子歌集
『雲の行方』


師石田比呂志との歳月、
そして亡き後の歳月。
師を失い、
見つめ続ける孤独を恐れずに、
凜として前を向く。
かすかなペーソスをまぶして、
自在に紡いだ十九年間の作品。


・あの雲の行方を知っているのなら
 鳥よ帰らぬ人に告げてよ
・純白のままでいたいと願っても
 雲の逃げ場は空しかないぞ
・遠き日の柱時計が鳴ったよな
 秋の空気の緊まれる部屋に
・さみしくて振り返りたる丘の上
 欅が戦ぐ手を振るように
・祖父吸いし莨にその名覚えたる桔梗が咲けり
 さみしき色に


第2歌集
「芽」発行人
2019年9月24日発行
四六判上製カバー装268頁
定価:本体2500円[税別]
装画/上野純雄
装幀/真田幸治
 

 
島本ちひろ歌集
『あめつち分の一』


青春を駆け抜け、なお今も青春の中にいる島本ちひろさん。〈あめつち分の一〉の小さな自分の命をいとしみ、広い〈あめつち〉の中を自由に往き来して、優しい、悲しい、懐かしい、微笑ましい歌を詠む人である。一首一首の歌が、一つ一つの物語のような味わいがあって楽しい。
(高野公彦)


・足先をくすぐりあって駆けだして
 巨きな夏を君とよこぎる
・春風と呼ばれて風は嬉しくて
 しだれ桜にさわって笑う
・蛍にもあらいぐまにも桜にも
 ならずに私の子になった君
・離れてもりんごはりんごの樹を思う
 空の向こうのふるさとの樹を
・当然のように黙ってついてくる影よ
 わたしの影でごめんね 


第1歌集
コスモス叢書第1158篇
2019年9月20日発行
四六判並製カバー装158頁
定価:本体2000円[税別]
装画/染谷みのる
装幀/真田幸治
 

 
野村まさこ歌集
『夜のおはよう』


『夜のおはよう』の魅力は、何より、今時の悩める高校生の姿を軽やかに描いている点にある。保健室に来る生徒たちは、ほかでは見せない顔を見せ、言わないことを言うのだ。
(広坂早苗・栞より)

 素材が訴える力、短歌形式の力、そして野村まさこの把握力・表現力。それらがそろって一冊を揺るぎのないものにしている。
(大松達知・栞より)


・二次元のガールフレンドは平気でも
 リアルな女子は苦手な少年
・たいていは「だるい」に丸がついている
 問診票を束ねて仕舞う
・「おはよう」の声が夕方交差する
 午後五時登校夜の学校
・カタコトで喋る生徒のプリントに
 仮名をふりたり平仮名にカナ
・折れた骨直して整えたる傘を
 ぽんっとひらいて吹きこむいのち 


第1歌集
コスモス叢書第1156篇
令和元年8月17日発行
A5判並製カバー装170頁
定価:本体2000円[税別]
装画/著者
装幀/真田幸治
 

 
生井和雄歌集
『雄峰』


多感な少年時代を栃木県那須郡馬頭町という所で過ごした。……雄大な那須連峰、近くの山々のなつかしい思い出から、この歌集の表題を「雄峰」とした。
(あとがき)


・「おーいお茶」ひとり居なれど言いたき夜
 春雷ひびく誕生日の夜
・新しき長靴はきしうれしさに
 子は水たまりの空をけちらす
・荷をとけば筍くるむ新聞に
 「しもつけ」とありふるさとを読む


第1歌集
2019年8月23日発行
四六判並製カバー装112頁
非売品
装幀/真田幸治
 

 
本多稜歌集
『六調』


旅にさすらい、歌に悦び、酒を愉しみ、
土にまみれ、家に安らぎ、山を愛す。
いま〈人生〉に息づいている。


・ドリアンの匂ふ街角トゥクトゥクの
 運賃を礼を尽くして値切る
・どこまでも母音は伸びて
 うたひたきことことごとく掛け唄となる
・「育てる」は他動詞なれど
 日に向かひひたに伸びゆく力よ力
・磨かざるゆゑの濁りのふくよかさ
 在るもの在るがままにあぢはふ
・遠吠えを三回真似て仲秋の
 月にむすめは礼をなしたり 
・雨なればこその語らひ
 山小屋に次に行く山その次の山


第4歌集
「短歌人」同人
2019年7月19日発行
四六判上製カバー装176頁
定価:本体2400円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
『藤原月彦全句集』

第18回鬣TATEGAMI俳句賞受賞

一九七三年、鮮烈に登場、
六冊の句集を遺し、
駆け抜けていった俳人の全貌。
世紀末へ向かう都市から
耽美的なる世界を創造、
烈しく言葉を揺さぶり、
常に尖鋭的であろうとした軌跡。

【収録句集】
『王権神授説』『貴腐』『盜汗集』『魔都
魔界創世記篇』『魔都 魔性絢爛篇』『魔都 美貌夜行篇

・夭折の兄かも知れず海螢
・睡りつつ他界を覗く嬰児かな
・みな死んでなほも雪ふる遠眼鏡
・獄窓に西日世界はいま悲運
・親友に欲情散華する花野
・兄を姉と呼ばねばならぬ夏の暮
・桜陰に兄と情夫の苦き蜜


2019年7月13日発行
四六判上製カバー装272頁
定価:本体3200円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
加藤隆枝歌集
『ハングルの森』


ハングルとの偶然の出会い、
その魅力に引き込まれ、
森の奥へ奥へと
手探りで進んでいく。
好奇心にきらめく
十五年の歳月、
読点を打つように
まとめた一冊。


・満開の湖岸の桜に吹く風は
 アンニョンヒカセヨと花びら散らす
・ひらがなを習いはじめし子のように
 看板の文字ハングルを読む
・隣国は寄せては返す波のごと
 近づきしのちまた遠ざかる


第4歌集
「短歌人」同人
2019年7月8日発行
四六判並製カバー装128頁
定価:本体1800円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
石神順子歌集
『春の燭台』


こうして歌集としてまとまった一冊を見ると、積極的に自分の道を切り拓き、歩んで来られた人であった事が窺えた。自分の目的に向かい屈する事なく進み、やり遂げる力を備えている人なのだと感じ入った。
(筑波笙子・跋より)


 序・福島美恵子

・冒険者たちの心のおののきを
 思いつつ任地バヌアツへ発つ
・さかのぼればわが家族にも「聖家族」の
 ような構図の一刻ありぬ
・裸木の木蓮に芽はこぞり立ち
 そらへあまたの燭台掲ぐ


第1歌集
「茨城歌人」「からたち」同人
茨城歌人会叢書 No.196
令和元年7月14日発行
A5判並製カバー装160頁
定価:本体2000円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
原田千万歌集
『嬬恋』


信濃に生活の根を張り、
樹や水のこゑに
耳をかたむける。
生と死、あるいは
生と詩を往還する
たゆたいやまぬ
〈われ〉という存在。
言葉に底流する詩想の結晶。


・神あまた棲むゆゑ森はふるさとの
 もつとも深きを占めてゐるなり
・信濃とは黄泉につながる国ならむ
 木々の葉つねにさわだちやまず
・ゆふやみのなかにほのほの花あかり
 ありて鞦韆ゆきかへりする


第3歌集
「短歌人」「さて、」同人
2019年6月20日発行
A5判上製カバー装124頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
高旨清美著
『雨宮雅子作品鑑賞 昼顔讃歌
 離教への軌跡

西欧的であり、
高雅、知的な香りを放つ雨宮雅子の
作品世界の魅力を
あますところなく描き取る。
神を求める熱いまなざし、
やがて離れてゆく軌跡。
長年私淑した著者が
寄り添うように鑑賞した
渾身の一冊。


『鶴の夜明けぬ』『悲神』『雅歌』『秘法』『熱月』『雲の午後』『旅人の木』『昼顔の譜』『夏いくたび』『水の花』、十冊の歌集の作品鑑賞、エッセイ「白はしたたか」「悠久を咲く昼顔」を収録。

「晶」同人
2019年5月24日発行
四六判上製カバー装222頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
小田部雅子歌集
『水と光』


教職を辞し、
茨城から静岡に転居。
大井川沿いの自然に包まれ、
明るく活動的な日々。
時に伝統技巧も試み、
時に厳しく時代を見つめ、
繊細というよりは逞しく
太々と温もりある歌群。
水と光に包まれた歳月と記憶。


・小雨ふるあした羽化せし熊蝉は
 生まれちまつて啼かねばならぬ
・冬の川しゆるる、しゆるるとながれをり
 流れゐるのはみづかひかりか
・かなしみはしんとしづかなゆふぐれの
 河原の石の陽のなごり熱
・こんなにもしつかり縫つてあるシャツが
 五○○円とは安すぎないか
・死の際に母性かへりてわが頭
 撫でくれし手の骨はいづれぞ


第3歌集
コスモス叢書第1153篇
2019年5月15日発行
四六判仮フランス装192頁
定価:本体2300円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
木村悦子歌集
『時計草咲く』


木村悦子さんの作品世界は家族で占められている。
老いゆく母、巣立ちゆく娘と息子、生れ出ずる孫たち、そしていつも傍らにいる夫と犬。
故郷、信州駒ヶ根への思いも深い。こんな木村さんの作品世界に一寸、立ち寄ってみませんか?
(高田流子)


・折々を妻母姑のカードきりて
 「人生ゲーム」のごとく暮らしつ
・夢の中のわれはいつでも故郷の
 山の小径に迷いておりぬ
・すこしずつ文字盤ひらく時計草
 ざわめく夏のはじまり知らず


第1歌集
「短歌人」同人
2019年5月2日発行
四六判上製カバー装214頁
定価:本体2200円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
野口三重子歌集
『雁金草』


 長年「茶」を学び、後年は「手話」も習得される「ガンバリヤ」さんである。ご自分の大病を克服されての今日だがご主人の看病も優しい。(略)子どもさんの独立の時、また八十歳の掉尾近くに置かれた「ありのまま生きて…」も前向きであることが嬉しい。
(平山公一・序より)


・ああ雁の渡る一声きくころか
 雁金草の花にふる雨
・深呼吸のちの点前座あかるみて
 三十人の御前に座す
・ありのまま生きてゆくのよ
 我のみの一度の人生いまの呼吸で


第1歌集
「潮音」同人
2019年4月25日発行
四六判上製カバー装172頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
九堂夜想句集
『アラベスク』


初めて「九堂夜想」の文字を見た瞬間、ぼくはこの名の主が虚構と幻想の論理を巧みに操れる曲者に違いないと察知し、それは確かに当たっていた。── 表 健太郎

・春深く剖かるるさえアラベスク
・墨界に蝶を釣らんと空し手は
・幻日を互みに游ぐ鏡文字
・冥婚の雨はオルガン地方より
・唄いつつ王母らはひく半過去を


第1句集
「LOTUS」同人
2019年2月24日発行
三五判並製カバー装108頁
定価:本体1700円[税別]
装幀/真田幸治