書店での御注文の際は、開発社発売、六花書林発行とお申し付けください。
直接お申込の際は、郵便振替同封、送料小社負担でお送りします。
お申込はメールもしくは電話、FAXにてお願い致します。
Tel:03 - 5949 - 6307
Fax:03 - 6912 - 7595
Mail

2005-0607-0809-1011-1213-1415-1617-18 | 19-
 
 

 
東海林文子歌集
『しずくのこえ』


小学校教員として勤め上げ、
我が子の独立、父との別れ、
日々にたゆたうなか、
零れそうな思い。
切実さをもって詠うことで、
かけがえのない己と再び出逢う。

・さり気なく立ち止まる子の広き背は
 追いつく頃にまた進み出す
・まっすぐなまなざし集めしなやかに
 下りる指揮棒 音が湧き出す
・「成長した私たちにまた会いに来て」
 なんてすてきなお別れだろう


第2歌集
「短歌人」同人
2022年10月28日発行
四六判上製カバー装192頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
新井きわ歌集
『きみの涙はぜんぶ受け止める』


・一つずつボタンを外して脱ぎきった
 私の展開図が白く床にあり

ひとに分かってほしいことがあまりにもいっぱいある時、歌をつくるのは難しい。
ひとに伝わるかどうかなど考えない時になにかが生まれる。さまざまな自分を歌に込めてきた新井さん。でもこの一首はあなたの残響【エコー】のようで、いいなあ。
自分であって自分でない白い殻のようなもの。今後の突破口になるかもしれない。
(さいとうなおこ)

解説/田中 槐

・柔軟にかつアルデンテに生きたしと
 後ろに黒髪キュッと束ねる
・歯ブラシはモップみたいになっていて
 それでも君の歯磨きは静か
・「愛してる」のポテンシャルが違うだろ
 スプーンが裂けてフォークの私


第1歌集
「未来」会員
2022年10月30日発行
四六判並製カバー装128頁
定価:本体1800円[税別]
装画/おかべてつろう
装幀/真田幸治
 

 
栗明純生歌集
『はるかな日々』


 栗明純生さんは日本資本主義の最前線にあって奮闘してきた人と聞く。その激動の日々の合間、合間にひそかに歌を作ることが切実な精神の安定、救いとなってきた。こういう人はなかなかいるようでいない。勤務の間を縫って世界各地に旅行し、またスポーツを愛し、心臓の手術も体験し、はなはだ行動的である。四十三年勤めて、退職した。どういうこれからが、そして短歌が、待っているのだろうか。興味つきないところである。
(小池 光)

・入りくるメール幾十標題を読みとばし
 さぐる緊急案件
・やわらかき笑みを浮かべて礼【いや】をする
 このドアマンもベトコンの裔【すえ】
・アラベスクの無限反復めくるめき
 モスクは夢に我を招くよ


第5歌集
「短歌人」編集委員
2022年10月18日発行
四六判上製カバー装206頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
西勝洋一歌集
『晩秋賦』


北海道に生き、八十歳で没した西勝洋一の
第五歌集にして最後の歌集。
著者六十年に及ぶ歌業の集大成。
清冽な抒情と豊かな口誦性は今なお健在。
人生の晩秋を迎えた日々を、
少しの郷愁とたっぷりの諧謔をもって
しなやかに詠いあげる。

・氷片をあまた浮かべて流れゆく
 石狩川の豊かなる音
・レンブラント六十三歳の自画像を
 真夜のテレビに観て床に就く
・就職列車の窓に泣きつつ手を振りて
 去りし少女を今に忘れず
・かくまでも遠く来しかな
 わが父の終焉の地に米を撒きたり
・「もう若くない」と言いつつ過ごし来て
 本当にもう若くない夏


第5歌集(遺歌集)
「かぎろひ」編集発行人、「短歌人」同人
2022年9月28日発行
四六判上製カバー装200頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
装画/石山宗晏
 

 
田上義洋歌集
『ひともじのぐるぐる』


 田上義洋さんはながいキャリアのある人ではないが、その歌にはなかなか味わいがある。日常の身めぐりから、ちょっと人が気づかないような材料をうまくこなして歌のかたちにしつらえる。それが自然で、明快で、こむずかしいはったりのようなものがどこにもない。なんともいえないユーモアが全篇にほのかに漂って、読んでいて楽しくなってくる。
(小池 光)

・携帯をやめて私を見ないかと
 冬の夜空にすばるが光る
・街の湯に父と入りしは去年なり
 寡黙なりしよその日も父は
・亀のこゑ聞きもらさじと池の面に
 耳を傾く白百合の花 


第1歌集
「短歌人」会員
2022年10月4日発行
四六判上製カバー装158頁
定価:本体2400円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
谷垣惠美子歌集
『埋み火』


 谷垣惠美子さんは、ほとばしるようにどしどし詩想の湧く人である。細部に拘泥せず、あふれる思いを単刀直入に歌のかたちにしつらえてゆく。そのエネルギーと情熱は輝かしいものがあって、ときには圧倒される思いがする。地域の短歌普及のため不屈の活動をし、多くの人を束ねてきた。こういう人がいるから短歌は支えられているのである。
(小池 光)

・ひとりのるエレベーターに影うつす
 わが決断はこれでいいのか
・いつの日も情熱的でありたいが
 梃子の支点がぶれるときあり
・わが裡のデブリとりだす埋み火の
 くすぶる物体【もの】を業【ごふ】と言ふのか


第2歌集
「短歌人」「餐」同人、「むらさき」代表
2022年9月17日発行
四六判上製カバー装258頁
定価:本体3000円[税別]
装幀/真田幸治
装画/Johannes Vermeer
 

 
佐々木通代歌集
『夜のあすなろ』


 人の世のさまざまな悲苦に出会いながら、佐々木通代の歌にはいつも明るく透明な陽が差している。歌をつくることがすなわち生きるよろこびであり、また生きる支えでもあるからだ。感覚冴えて、表現は平明。頼りがいのある歌の作り手が、一人、ここにいる。
(小池 光)

・月照らす笛吹川のかはらゆく
 老いし狐をおもふことあり
・病棟のまへの直ぐなるアスナロの
 六、七本にせまるゆふやみ
・去りがたく十数分をながめをり
 青岸渡寺【せいがんとじ】に滝かたむかず


第2歌集
「短歌人」同人
2022年9月5日発行
四六判上製カバー装188頁
定価:本体2600円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
鯨井可菜子歌集
『アップライト』


ひたむきに働きつつ
濃密になってゆく
他者との時間。
日々の実感を
一首に掬い取れば、
言葉も人も動き出す。

光をもとめ、
光のもとへ。

・きみのいる(いない)あしたに嚙み砕く
 ジンジャーブレッドマンの左手
・店員に手を引かれたる着ぐるみが
 段差を降りるまでを見ていつ
・会議室にダイオウイカの横たわり
 残業を減らすための会議よ
・社会性おばけ、という名を
 自らにつけたり シーツ被って歩く
・ふすまを開けてホットケーキを勧めおり
 電話会議を終えたる君に


第2歌集
「星座α」会員
2022年9月17日発行
四六判並製カバー装152頁
定価:本体2000円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
藤原龍一郎 著
『抒情が目にしみる
現代短歌の危機[クライシス]

現代短歌に魅入られて半世紀、
時代と向き合い、
果敢に状況に切り込んできた。
短歌形式を選択した自負、
塚本邦雄、福島泰樹たち、
敬愛する歌人への思いを
情熱をもって描き取る。

「短歌人」編集委員
2022年9月1日発行
四六判上製カバー装228頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
装画/Aubrey Beardsley
 

 
砂田暁子歌集
『遠霞』


季節の移ろいの中で、
自然に身を委ね、
存在と非在を往還。
境界を時に越え、
命を凝視する
詩想の結実。

・うつし世の有ると無しとの境目に
 みんみん蟬とほくみんみんと鳴く
・わが傍へささつと過ぎぬ
 亡きひとのこゑ持つ風と一瞬おもふ
・のつと出る大地に近き夏の月
 のぼりゆくほどに小さく清か


第8歌集
水甕叢書第916篇
令和4年8月20日発行
四六判上製カバー装218頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
室井忠雄歌集
『麦笛』


 室井忠雄の歌はどの歌とっても歌意がハッキリわかる。これだけハッキリした歌を詠むのはかんたんなようでかんたんでない。年季が要るし、勉強もしないといけない。それをキチンと果たして来た。虚飾を排し、読者に媚びることなく、「実」が詰まっているのである。それにしても地方公務員として、有能、誠実、ムダ口たたかぬ。こういう人が地域にいれば、実にありがたいと思わずにいられない。
(小池 光)

・学芸会の舞台にわれあり
 「みにくいあひるの子」のみにくいあひる演じて
・火葬場担当でありし若き日に
 死者を焼く原価を計算せしことあり
・三依の里の児童生徒は獅子がしらを
 小さき額につけて踊るも


第4歌集
「短歌人」同人
2022年8月14日発行
四六判上製カバー装230頁
定価:本体2500円[税別]
装画/松原 賢
装幀/真田幸治
 

 
明石雅子歌集
『発寒河畔
さくら鳥の来るところ

 気品のある歌の骨格の上に、感受性というしなやかな筋肉が張り付いている。明石雅子の短歌は本格的な詩歌の美の根源を希求しつつ、時代にも敏感に反応する。あるいは大胆な口語表現も取り入れられる。それが歌人としてのオリジナリティと言えるのだ。こういう自在な個性があるゆえに、現代短歌としての生き生きとした息吹がどの作品にも存在し、輝きを放っているのである。
(藤原龍一郎)

・やはらかき雪のくびれにさす茜
 中洲ふたわけにして川の流るる
・あふむきに泳ぎゆくときつるくさの
 つるの捩れのゆるびゆくなり
・善人ばかり乗つてゐるのに地下鉄の
 連結ジャバラは震へてをりぬ


第2歌集
「短歌人」「花林」同人
2022年8月8日発
四六判上製カバー装160頁
定価:本体2400円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
奥村晃作歌集
『象の眼』


 二〇一九年七月から二〇二二年三月までの、足掛け四年間、満三年弱の期間に詠み溜めた歌の中から選んで一集を編むことにした。
 たまたま、新型コロナウイルスのパンデミックの始まりから今日に至るまでの、我が暮らしの中での詠嘆であり、おのずからコロナ禍歌集となった。
(「あとがき」より)

・自転車もろとも飛ばされそうな強風が
 折々に吹く道を漕ぎ行く
・我が歌を書写せるノート我に賜び
 行ってしまった萩原慎一郎
・「マスクせよ」「マスクしなさい」
 その声を同調圧力とわれは思わぬ
・うた会の仲間も教室の生徒さんも
 共に学び合うわが歌の友
・ヒトは皆顔にマスクを付けてると
 生後二歳の子が認識す 


第18歌集
コスモス叢書第1213篇
2022年7月22日発行
四六判上製カバー装260頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
鈴木竹志歌集
『聴雨』


数多の本に寄り添い、
学生たちと歌を学ぶ日々。
平穏な暮らしに
生まれるさざなみを
率直に掬い取った歳月。
そして、逝きし人への思い。

人の営みのなかに
いつも歌はある。

・愚痴のなき仲間と酒を飲む夜は
 酒も美味いし悪酔ひもせぬ
・声あげて『山西省』の歌読めば
 学生たちも粛然と聴く
・読みなれし二宮冬鳥の雨の歌
 いづれも聴雨の歌と今に悟れり
・三畳の書斎にこもり原稿に
 あぐねてをれば小窓うつ雨
・空漠の心といふはまさにあり
 訃報の一矢に傷を負ひつつ


第3歌集
コスモス叢書第1211篇
2022年6月26日発行
四六判上製カバー装208頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
装画/小村雪岱
 

 
斉藤光悦歌集
『時のパースペクティブ』


 斉藤光悦を構成しているのは、地方と都市、若年と老年、抒情と叙事、実存主義と構造主義などなど。その間で揺れ動きつつ生きてきた経緯がこの歌集の大きな流れになっている。
(沖ななも・跋より)

・月という夜空の穴の奥にある異界よ
 そこにおれもゆくのか
・ふるさとの訛りを聞きにゆきしこと
 いちどあり上野駅地下通路
・五十五年臆病者で生き来しか
 嫌われぬよう喧嘩せぬよう


第2歌集
熾叢書第98篇
2022年5月29日発行
四六判並製カバー装192頁
定価:本体2000円[税別]
装幀/真田幸治
装画/Vilhelm Hammershøi
 

 
片岡絢歌集
『カノープス燃ゆ』


人生の変動の時期、
誠実に言葉と向き合う日々。
ひととのふれあいの中、
生まれた歌の質感、
瑞々しい生。

・万物があるこの世にはあるだらう
 星降るやうに皆が笑ふ日
・君はただゆららさららと持つて来よ
 君そのもののそのぬくもりを
・誰も彼も靄より出でて名を呼ばれ
 靄へ戻りぬ この世は花野
・人を恋ふときの眼差し 死を想ふときの眼差し
 カノープス燃ゆ
・仲が良いことよりも良いことはない
 地球の何処を探してもない


第2歌集
コスモス叢書第1210篇
2022年5月14日発行
四六判上製カバー装198頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
今井聡歌集
『茶色い瞳』


対象を見つめる時間は流れ、
ゆっくりと言葉が立ちのぼる。
日常から掬い取った詩の断片、
そこに生まれる驚きと発見。

・近からず遠くもあらぬ通りより
 路面を穿つ音の響き来
・見るのみで雲の手触り知らぬのに
 ふかふかと言ひふはふはと言ふ
・顔を湯にあらひて拭ひむきあへば
 鏡の男茶色い瞳【め】をす
・梅雨入りのそらの半ばにほんのりと
 白骨色【しらほねいろ】の円光ありぬ
・深海魚わが沈めれば
 光あはき綿津見の底方【そこひ】しろく身を伸ぶ

【栞】
石川美南*やさしき蝸牛の独白
内山晶太*表現と沈黙の狭間
奥村晃作*何よりも短歌が自らを語っています


第1歌集
コスモス叢書第1204篇
2022年2月26日発行
四六判上製カバー装220頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
大原幸子歌集
『グラジオラスの花束』


 歌集の多くは何気ない日常の歌だが、印象に残るのは家族の歌である。そこには幼少期から現在までの大切な時間が流れている。
(川田由布子・跋より)

・石段を拝むがごとく登りゆく
 祖母の背中に木もれ陽のふる
・他愛なき事をふたこと言う父の
 声のみしたりあかつきの夢
・あたたかき母の手のひら
 いつまでも覚えておかむ母の子として


第1歌集
「短歌人」会員
2022年2月20日発行
四六判上製カバー装172頁
定価:本体2200円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
馬淵のり子歌集
『そっと置くもの』


 あとがきに「古希の節目」なんてあるので驚いてしまう。全くそんな歳の人とは思わなかった。老いてゆくなげきなどどこにもなく、いつも明るくて気持ちがいい、透明な風が吹いている。ごく自然にこれは「幸福」の歌集なのだが、その幸福のすきまに漂うように「ことば」が入ってきて、一瞬一瞬、一日一日を忘れ難く刻んでゆく。まさに「そっと置く(大事な)もの」がそこにあるのだ。
(小池 光)

・どこにある馬淵のり子の終点は
 花の雨ふる四月におもう
・軽快にしゃかしゃか磨く歯ブラシの
 腰のくびれがたまらなくいい
・そっと置くものに音あり
 小説のはじまりのように初雪が降る


第1歌集
「短歌人」会員
2022年2月10日発行
四六判上製(セミハード)カバー装214頁
定価:本体2000円[税別]
装画/馬淵いづほ
装幀/真田幸治
 

 
中道操歌集
『人間の声』


この歌集のひそめている二十年あまり、「さまざまな邂逅」や「別離」のあわいを、ただひたすら漕ぎのぼっていたことになる。
(「あとがき」より)

・若き日のブーニンのショパン聞きながら
 鍋磨きをり春はもうすぐ
・大海の一滴の身とおもへども
 一滴の生もなかなか難儀
・アカンサス丈たかく咲けりギリシアへと
 いざなひくれし小川国夫氏


第2歌集
コスモス叢書第1201編
2021年12月10日発行
四六判上製カバー装226頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
中村典子歌集
『郭公の巣』


中村さんは世界の料理の研究家だ。「食」とは生きる意志なのかもしれない。大切な人の死を乗り越えて、中村さんの歌はいのちへの信頼に満ちて温かい。
(富田睦子)

・朝な朝な子らは告げをり病む母に
 けふ朝顔のいくつ咲けりと
・今少し大きが良きかと四つめの
 弁当箱買ふ高校球児に
・翡翠色に若布煮あげて筍と
 春の出合ひをひと鉢に盛る


第1歌集
令和3年11月24日発行
四六判上製カバー装312頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
三枝昂之著
『跫音を聴く
 近代短歌の水脈

第13回日本歌人クラブ大賞受賞

直文、信綱、樋口一葉から佐太郎、北杜夫まで
語りかけるようにして辿る21人の軌跡。
短歌という魂の詩型への飽くなき好奇心は
歴史に耳を澄ませる。
他に鉄幹、子規、晶子、啄木、柴舟、長塚節、茂吉、白秋、空穂、三木露風、村岡花子、宮澤賢治、植松壽樹、筏井嘉一、土屋文明、半田良平を取り上げる。

りとむコレクション121
2021年9月22日発行
四六判上製カバー装338頁
定価:本体2600円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
松村正直著
『踊り場からの眺め

  短歌時評集2011-2021


時代と併走して、現状に切り込み、未来を見据える。
分断を超え、〈現在〉と対峙し続けた十年間の視点。

「短歌」「毎日新聞」「朝日新聞」「現代短歌新聞」連載時評のほか、この期間の数多くの評論を収録。現代短歌の先端を描き取った一冊。
*人名索引あり


2021年9月16日発行
四六判上製カバー装330頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
石川なおおき歌集
『風と樹と II』


今まで全く読んだことがなかった父の歌と初めて向き合うことになりました。父の歌には、花鳥風月ではなく、身の回りの美の発見でもなく、飲酒の喜びでもなく、取材に行った各地農村のこと、家族のこと、晩年を過ごした北千住のまちのことがまるで日記のように書いてありました。
(石川敏・あとがき)

「人間詩歌」の信夫澄子と同行、平成5年~平成20年、補遺(昭和58年~平成4年)の作品を収録。


・北千住に移って五年
  下町の地図を探る荷風を探る
・若葉とはこんなに美しかったのか
  手術三日目のまなこを開く
・利根川はわが出発点
  利根川はわが終着点と思う このごろ 


第3歌集(遺歌集)
令和3年9月16日発行
四六判上製カバー装190頁

定価:本体2000円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
真狩浪子歌集
『童話の森』


 女性が子育ての細部を短歌に詠うことは珍しくないが、この一巻は息子さんが二歳の時から詠い始められ、短い連作のかたちで、二十歳になるまでが詠われている。息子の成長というテーマにこのようにこだわり続けた歌集は稀有である。
(藤原龍一郎・跋より)


・教室の天井のあの靴跡は
 いつかの虹を超えたる一歩
・十七歳母を見下ろす背高の
 翳は濃くなり薄くなりする
・しならせて、まるくつつんで からだとは曲線、
 そして曲線を恋ふ 


第1歌集
「短歌人」同人
2021年8月18日発行
四六判並製カバー装188頁

定価:本体2000円[税別]
題字/真狩怜琴
装幀/真田幸治
 

 
堀田茂子歌集
『宍道湖』


八十四歳から九十二歳までの八年間の短歌教室への提出歌をそのままに編み、読み応えのある歌集となったことを堀田茂子さんと共に喜びたいと思う。
(奥村晃作) 


・逝きてより覆ひしままの碁道具に
 手ふるれば鳴る那智の黒石
・宍道湖の真中の小さき嫁ヶ島
 つかのま見せて霧流れゆく
・ベランダに遊ぶ子雀よろぼふも
 リズムとるがに雀のタンゴ


第1歌集
令和3年8月24日発行
四六判上製カバー装110頁
定価:本体2000円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
牧野芝草歌集
『勾配』


「感度(sensitivity)と増幅度(gain)」ということをずっと考えている。短歌について言えば「何を題材にどのような視点で歌を詠むか」と「それをどのくらいの力加減で詠むか」。「感度(sensitivity)と増幅度(gain)」を適切に制御することが何かを表現するということの本質なのかもしれない。
(「あとがき」より)


・日ごと夜ごと新種は生まれぼくたちの
 未来に花を添えてくれる、か
・次にどんな場面が出ても
 慌てないくらいの覚悟ははじめからある
・赦されてこの一群のしんがりを歩く
 みんなの背中が好きだ
・いつかぼくが死ぬときに見る光景が
 これであるならいつか死にたい
・窓一枚分を切り抜き玄関の
 壁に掛けたいほどの夕焼け


第2歌集
2021年7月15日発行
A5判並製表紙装148頁
定価:本体2000円[税別]
装幀/真田幸治
扉・写真/牧野芝草
 

 
宮田長洋歌集
『無情の武蔵野』


宮田長洋は、人間の営みを一貫して詠む。デッサンたしかな叙景歌の味わいはもちろんのこと、かつて療養地でもあった武蔵野を歩きながら愚直なまでに人間を考える姿に心うたれる。心身の失調を乗り越えつつ暗鬱な時代に懊悩する一方、一首一首の歌に人間を見つめる眼のあたたかさが息づいているところがやさしさであり、宮田長洋の歌人の真髄である。
(生沼義朗)


・武蔵野の木々に曾ては護られて
 遠き世のごと療養所あり
・死に方を考えていると一人の言う
 カフェに老いびと四人向きあい
・われ肝炎きみ膵臓の癌病みて
 二年ほどの濃き時間あり


第4歌集
「短歌人」同人
2021年5月25日発行
四六判上製カバー装200頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
松村威歌集
『影の思考』


 大方人生も見えた六十歳になって、文学青年らしかった時代を懐かしみ俳句を始めた。そして短歌に移った。私の表現には程よい長さと感じたからだ。あの頃考え、感じた夢のつづきを、今何人かの方に頷いていただければ、この上ない喜びです。
(「あとがき」より)


・ついてくるおのれの影を追い払い
 ドアを閉めればそこにまた影
・とおくきて詩は復讐と見つけたり
 ナイフのおもてにしずもる桜
・はるかへとつづく鉄路も濡れており
 われに安らぐところはありや 


第1歌集
2021年2月26日発行
四六判上製カバー装154頁
定価:本体2200円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
橘夏生歌集
『セルロイドの夜』


言葉は綺羅、言葉は鴉片、
言葉は美貌のリビングデッド。
現実など日常など、想像力の前には、
卑しい下僕に過ぎない。
橘夏生という言葉の耽溺者【ジャンキー】が、
徹底的に言葉だけで創りあげた
楼閣、伽藍、ラビリンス。
見よ! セルロイドの夜を
さらにキッチュに染めあげる
妖しき言葉の百鬼夜行を!
(藤原龍一郎)


・マドレーヌを紅茶に浸けてその須臾の
 馬頭星雲のくらきかがやき
・雨の朝上海に死すことのほか
 希ひはあらず過ぎし日おぼろ
・見知らぬ無数のひとが無数に灯す窓
 あ、いまひとつあかりが消えた


第3歌集
「短歌人」同人
2020年12月27日発行
四六判上製カバー装250頁
定価:本体3000円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
越田慶子歌集
『海に向く』


作者はなにをやるにも熱心で、計画的で、行くところまで行かないと気がすまない人のように見受けられる。この第一歌集の出版を期に、いよいよ励まれ、よき歌、おもしろき歌を詠まれることを切に期待する……
(小池 光・跋より)


・中学の同級生の十五人
 帰らぬ人となりし現実
・店先に子猿飼ひゐき石巻
 「サルコヤ玩具店」おもふ日のあり
・おもむろに頼みがあると父の言ふ
 赤ボールペン買つて欲しいと


第1歌集
「短歌人」同人
2020年11月22日発行
四六判上製カバー装218頁
定価:本体2400円[税別]
装画/浅野輝一
 

 
服部みき子歌集
『シンクレール』


韻律が醸し出すその状況のなかで、受け入れがたい負の感情さえ浄化してしまうような、ふしぎな力が働くのを感じます。
(「あとがき」より)


・二年後の見えぬ世にしていまわれは
 明日のパンを選びに選ぶ
・芍薬の莟にひたと蔵はるる未生のひかり
 その密度はも
・ゆれやすき胸の天秤しづまれば
 カデンツァのやうなけふの夕焼け 


第1歌集
2020年9月26日発行
四六判並製カバー装182頁
定価:本体2000円[税別]
カバー写真/著者
装幀/真田幸治
 

 
高橋千恵歌集
『ホタルがいるよ』


 人生のどんな途上にも途上なりの問いがあり、手探りがあるが、ここには三十代がたぶんもっとも迷う問いがあり、切実な岐路がある。ある意味では普遍的なその問いを高橋さん特有な軽みを帯びた語り口につつむところに、この青春歌の特色がある。
(三枝昂之・跋より)


・大丈夫またがんばるよお母さん
 悔しいくらい身体は丈夫
・〈い〉の口はみがけています
 〈あ〉の口の奥歯をみがき直しましょうね
・何もかも捨てたい夜に検索す
 ハローワークの求人〈僧侶〉
・ライターもお金もないし信号が青になったし
 ごめん、おばさん
・カレーでも食べにおいでよ
 本棚に村田沙耶香も揃っているし


第1歌集
りとむコレクション115
2020年8月25日発行
四六判並製カバー装162頁
定価:本体2000円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
田中徹尾歌集
『吟』


仕事、家族、旅、
かけがえのない時間を
それぞれが支え合い、
一首に奥行きをもたらす。
実感を大切に、
大らかに人の営みを捉え、
思いを外へ開放してゆく。


・ひっそりと福島双葉の駅に立つ
 桜並木の息を聴きつつ
・あしもとは見えねどいつも美しい
 橋とは虹のことであったか
・ゆるやかで平凡である田中家の
 初めてのわが孫の名は吟


第3歌集
「心の花」会員
2020年8月17日発行
四六判並製カバー装166頁
定価:本体2000円[税別]
カバー写真/著者
装幀/真田幸治
 

 
柘植周子歌集
『寂光』


 美しいものを美しく歌うことはさしたる苦労を要しない。柘植周子の歌は、人が見捨ててしまった世界の断片を掬い上げ、ことばの綾を尽くして、そこに「美」を構築する。長年のひたむきな習練がそのことを可能にした。平明な表現の中に、ふかいこの世の嘆声が聞こえる。ああなんと世界は美しいものに満ちているか、と。
(小池 光)


・雨のなか歩む幼に従へば
 菜の花いろの長靴は舟
・猫の首のあをきリボンの蝶むすび
 ほどなく解けてまひるの閑居
・夫とわれに過ぎし歳月惜しみなく
 牛乳石鹸泡立ててゐる


第5歌集
「短歌人」同人
2020年7月15日発行
四六判上製カバー装234頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
三浦利晴歌集
『月華の濤』


歌は、長い人生を丁寧に誠実に生き抜いて来た歌人の真情が骨格となって成立している。月華の濤なる一巻の題名もまた、激しい風雪を通過して来た者のみが見られる自然の一相ではないか。
(藤原龍一郎・解説より)


・舞い散れる枯葉また降る廃鉱の
 身捨つるほどの空を見ている
・臨終の目許すがしく母はいま
 あらんかぎりに雪を見ていた
・かざし見る月華の濤に望郷の
 透けゆく水のごとき過去あり


第2歌集
「短歌人」同人
2020年6月5日発行
四六判上製カバー装200頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
伊東一如歌集
『蓬莱橋』


初の本格的な歌集

 作者は奥州弘前がふるさと。ふるさとをこよなく愛す。書籍の校閲を職とす。ときに鎌倉の寺など巡り歌を成す。その歌は剛直、明快にして解釈に難儀するところがどこにもない。まことにこれは正統派の歌、しらべは隆々としてよく人となりを伝える。
(小池 光)  


・下北をあるくは十九、
 『津軽』を手に冬の半島めぐるは二十歳
・一年に百五十冊を読みしころ
 遠距離通勤たすけとなりぬ
・友と二人はじめて飲みしコーヒーは
 蓬莱橋のたもとなる店


第2歌集
「短歌人」同人
2020年5月21日発行
四六判並製カバー装216頁
定価:本体2000円[税別]
装画/パウル・クレー「薄明かり」
中扉写真/著者撮影
装幀/真田幸治
 

 
奈良橋幸子歌集
『こゑのゆくへ』


『花騒』上梓から三十三年が経ち、それはやはり、長い年月だったと思わずにはいられない。わたくしの行方、うたの行方、ということを考えた時に、ともかくまとまった形にしなければという思いにうながされ、この集を編んだ。
(「あとがき」より)  


・水の上ただひろくしてうつし世に
 みひらきし眼をかぐはしくせり
・二分咲きといふつつましさ
 つつましき母はつくづくとほき母なる
・をとめたちがわけわかんない恋といふ
 六条御息所の恋
・歳月はひそやかに過ぎ荒寥の
 眠りといふをいく度も見き
・ほがらかに異界より来て
 月を見に出でよと誘ふ 夫に応へむ


第2歌集
コスモス叢書第1175篇
2020年5月15日発行
四六判上製カバー装192頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
波多野幸子歌集
『顔 かほ』


波多野幸子は医師であり、旅人である。
地域の人たちに信頼される医師としての日々は、
即ち人生という長い旅でもある。
医師としての寸暇には実際の旅人として、
山歩きをし、花鳥を写真に収める。
アラスカ、ニュージーランドへと赴く。
その旅の日々の喜怒哀楽が
五七五七七の韻律に拠って
短歌として表現され、
ここに一巻の歌集が誕生した。
(藤原龍一郎)  


・はばからず灯せることをひそやかに
 まづ喜びぬ戦果てし日
・垣のうち小暗き処すくと立つ
 目覚めよとばかり石蕗の花
・この家に住み初めし秋が基準なり
 庭の楓の紅葉の遅速


第2歌集
「星座α」会員
令和2年4月24日発行
四六判上製カバー装258頁
定価:本体2000円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
大橋弘歌集
『既視感製造機械』


動きそうで動かない。すなわち「名詞使い」の達人──と、ぼくが感じる所以である。
(清水亞彦・栞より)

大橋は、日常に生じた裂け目を飛ぶ、あるいはその裂け目から幻視し、イメージを召喚する。
(白鳥信也・栞より)  


・トンカツの衣といえば夕闇の
 滲む速度で揚げるものです
・補助線を引こうと思うその先に
 せせらぎがありトンボがよぎる
・明け方のサーカス小屋の静けさが
 あるだろ俺の名刺の書体
・自転車のカゴというのはことのほか
 あの世この世の枯れ葉が入る
・働きの悪い奴にはあげません
 でもくださいな天橋立


第3歌集
「emotional」編集代表、「仙藥」編集発行人
2020年4月24日発行
四六判並製カバー装136頁
定価:本体2000円[税別]
カバー写真/大洲大作《光のシークエンス?Trans/Lines》より
装幀/真田幸治
 

 
林和子歌集
『ヒアシンスハウス』


 別所沼のメタセコイアの森にたつヒアシンスハウス。─著者はその守りびとである。草花が咲き、鳥がさえずり、昆虫や子どもたちがやってきて、小さな木の家に四季はめぐる。
 ヨガのインストラクターでもある著者の、天体の運行と重なる深々とした呼吸は、ヒアシンスハウスの大三角窓に、立原道造の愛した高原のさびしい村や、高校時代を過ごした広島のなつかしい人々の記憶を呼びこんでゆく。
 日常の事象を、やわらかな感覚で受けとめ、身めぐりの人と分ちあう時を愛おしみつつうたう。『カスターニェンの木』から二十年を経て編まれた林和子の第三歌集。
(小林幸子) 


・ヒアシンスハウスの外は雨となり
 鳥の図鑑を棚にさがす子
・きみ居りし場所ぽっかりと
 空きしまま夕べ静かな〈星の礼拝〉
・ワルツィング・マティルダ遠し空たかし
 落葉の庭に手を洗いたり


第3歌集
「晶」同人
2020年3月28日発行
四六判上製カバー装172頁
定価:本体2500円[税別]
装画/清水 要
装幀/真田幸治
 

 
新倉幸子歌集
『桜橋』


庭の木にあまた芽吹くを見つめいる
夫の背細し明日は定年 

夫への感謝と家族への愛がこの歌集をつらぬく主題であるので、それにふさわしい歌だと思う。素直な気持ちが表れている。夫を直接歌ったものは数としては少なく、大切にしたい一首だ。
(川田由布子・跋より)


・一年の成長の早さ見する孫の
 寝顔に触るる人差し指で
・這い這いで座布団のりこえ縋りくる
 這い這いは命あふるるしるし
・漕ぎ出でしは昭和四十五年秋
 ふたりの舟はいま凪のなか


第1歌集
「短歌人」会員
2020年3月26日発行
四六判上製カバー装174頁
定価:本体2300円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
藤原龍一郎歌集
『202X』


10年ぶりの新歌集!

時代に対する危機感を抱き、
常に抵抗の意志を投げ掛け、
多数に迎合することなく、
己の立ち位置を問い続ける。
絶望を糧として、
暗澹たる時代に撃ち込む一行の詩!


・詩人こそ抵抗の贄かにかくに
 レジスタンスの武器ぞ雨傘
・東京スカイツリーは梅雨の闇に浮き
 電波を放つ「ノゾミヲステヨ」
・読み返す『一九八四年』目の前に
 ありてあらざるそのディストピア
・寒月の蒼き光は銃後なる
 街のすべてを悼みていたり
・孤立するわが夢にして悔いにして
 数限りなく咲く向日葵よ


第11歌集
「短歌人」編集委員
2020年3月11日発行
2020年8月23日2刷発行
四六判上製カバー装166頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
エリ歌集
『スタンダード』


エリさんは秘密の宝箱を持っている。
その箱の中には真珠やダイアモンドなどではなく、
素敵な綺羅めきにみちた言葉がたくさん詰まっている。
エリさんはその宝箱から言葉を取り出し、
組合せて命を吹き込む。
そうして紡ぎ出された相聞のみずみずしさ。
恋のスタンダードは、どんな読者の心にも
優しくしみ込むだろう。
(藤原龍一郎)


・図書館の隅夕焼けにも気づかずに
 没入しおりハイネの詩集
・海に差す月の匂いを知っている
 ミモザが開くミモザが香る
・言葉より熱くつきつけられるから
 冷えた右手を両手で包む

長谷川富市「新たな風として」


第2歌集
「短歌人」同人
2020年2月14日発行
四六判上製カバー装168頁
定価:本体2000円[税別]
装画/永倉万里江
装幀/真田幸治
 

 
山本秀子歌集
『冬珊瑚』


かつてあなたは港であった
長い航海を終えた人が心弾ませて帰る港
それから親しい人たちが永遠の旅立ちをした港であった
心の限り力のかぎりを尽くしてのち見送った港
もう泣いてよい、亘理の海の声が聞こえる
こらえた涙や伝えたかった言葉たちが
今しずかに、輝きながら、立ち上がる うちなる声の
渾身の第二歌集
(五十嵐順子)


・満ち足りし遥かなる日を憶う午後
 われが笑えばさくらもわらう
・ひたすらに駆け抜けゆきし一生なり
 襷をわれに渡して夫は
・自転車のタイヤに四月の空気いれ
 小学校のさくら見にゆく


第2歌集
歌と観照叢書第295篇
2020年1月29日発行
四六判上製カバー装142頁
定価:本体2200円[税別]
装画/山本誠司
装幀/真田幸治
 

 
人見邦子歌集
『風の窓』


風にゆらぎ、
時間に導かれ、
辿り着いた場所。
四季の彩りと
光と影のコントラスト、
はるかな世界に
思いを馳せ、
いつでも窓を
開いている。


・風さむき空気押しあげ立つ虹の
 足のあたりに桜が咲けり
・眼鏡形のブックマークをひとつ買ふ
 黄金小路のそぞろ歩きに
・コスモスは群れてもさびしきさまなるよ
 郷愁といふ響きふさはし


第7歌集
「短歌人」同人
2019年12月9日発行
四六判上製カバー装188頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
佐藤千代子歌集
『あれから』


これまでは未来に向かって前を見ていた
喜びも悲しみも彼方へ残してきた思いに
この頃、振り返ることが多くある
生きていれば誰にもあの時、あれからがある
そして、これからの日々にも…


・目に見えぬ風といえども草原を
 ゆく折かろき足跡を見す
・あらためて歳を数える二十歳から
 先はうろうろ 明日にしよう
・悲しみを彼方へ残し歩むほか
 無きことを知る弥生の忌日


第5歌集
歌と観照叢書第294篇
2019年11月18日発行
四六判上製カバー装198頁
定価:本体2500円[税別]
篆刻/佐藤克巳
装幀/真田幸治
 

 
青輝翼歌集
『朱雀』


 この歌集でもっぱら歌われているものは花であり木であり、天候気象であり、また日々のあえかなうつろいである。いわゆる自然詠、叙景の歌である。その地味で抑制された歌い口のなかに、生きて、この世に逢うかなしみが揺籃する。道端のちいさな一輪の花に、ふと歩みを止めて、作者とともに、そのうつくしいかなしみに見入りたい。
(小池 光)


・夕ぐれの道をあゆみて踏む花の
 アベリア白し土のおもてに
・おかあさんと呼ぶこゑのしてふりかへる
 天神地下街雑踏の中
・あゆみゆく道の半ばにけふの日の
 しぐれに濡れてわれがゐるなり


第2歌集
「短歌人」同人
2019年11月19日発行
四六判上製カバー装190頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
鈴木かず歌集
『まほろば』


都会での暮らしのなか、
折に触れ思い出す東吉野の友と景色。
そして、近づくふる里の母との別れ。
家族の歳月をやわらかく、
時に自在に掬いあげる。
1996年10月から14年あまりの作品を収録。


・膝の上のプラハの地図に揺れやまず
 白樺新樹をもれる日差しは
・頭の中の磁石の針は常に指す
 老いたる母の一人住む西
・二、三分の狂ひはうべなひ捻子巻きし
 柱時計の見下ろす昭和


第2歌集
「未来」会員
2019年11月10日発行
四六判上製カバー装184頁
定価:本体2300円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
山田泉歌集
『乾いたパレット』


山田さんの歌は、なにを歌っても明るく、向日性のところがよい。短歌の定番である、嘆き、かなしみ、苦悩の気配が少ない。たとえどんな困難、苦難、悲劇があろうとも、だ。
(小池 光・跋より)


・忘れられぬ最初と最後の勤務校は
 大東京に姿を消しぬ
・転移なしと告げる外科医のうちとけて
 寺山修司へ話題は変わる
・シャガールは僕たちと何かが違うと
 言った少年どこへ行ったの


第1歌集
「短歌人」会員
2019年10月19日発行
四六判並製カバー装166頁
定価:本体2000円[税別]
装画/著者
装幀/真田幸治
 

 
上野春子歌集
『雲の行方』


師石田比呂志との歳月、
そして亡き後の歳月。
師を失い、
見つめ続ける孤独を恐れずに、
凜として前を向く。
かすかなペーソスをまぶして、
自在に紡いだ十九年間の作品。


・あの雲の行方を知っているのなら
 鳥よ帰らぬ人に告げてよ
・純白のままでいたいと願っても
 雲の逃げ場は空しかないぞ
・遠き日の柱時計が鳴ったよな
 秋の空気の緊まれる部屋に
・さみしくて振り返りたる丘の上
 欅が戦ぐ手を振るように
・祖父吸いし莨にその名覚えたる桔梗が咲けり
 さみしき色に


第2歌集
「芽」発行人
2019年9月24日発行
四六判上製カバー装268頁
定価:本体2500円[税別]
装画/上野純雄
装幀/真田幸治
 

 
島本ちひろ歌集
『あめつち分の一』


青春を駆け抜け、なお今も青春の中にいる島本ちひろさん。〈あめつち分の一〉の小さな自分の命をいとしみ、広い〈あめつち〉の中を自由に往き来して、優しい、悲しい、懐かしい、微笑ましい歌を詠む人である。一首一首の歌が、一つ一つの物語のような味わいがあって楽しい。
(高野公彦)


・足先をくすぐりあって駆けだして
 巨きな夏を君とよこぎる
・春風と呼ばれて風は嬉しくて
 しだれ桜にさわって笑う
・蛍にもあらいぐまにも桜にも
 ならずに私の子になった君
・離れてもりんごはりんごの樹を思う
 空の向こうのふるさとの樹を
・当然のように黙ってついてくる影よ
 わたしの影でごめんね 


第1歌集
コスモス叢書第1158篇
2019年9月20日発行
四六判並製カバー装158頁
定価:本体2000円[税別]
装画/染谷みのる
装幀/真田幸治
 

 
野村まさこ歌集
『夜のおはよう』


『夜のおはよう』の魅力は、何より、今時の悩める高校生の姿を軽やかに描いている点にある。保健室に来る生徒たちは、ほかでは見せない顔を見せ、言わないことを言うのだ。
(広坂早苗・栞より)

 素材が訴える力、短歌形式の力、そして野村まさこの把握力・表現力。それらがそろって一冊を揺るぎのないものにしている。
(大松達知・栞より)


・二次元のガールフレンドは平気でも
 リアルな女子は苦手な少年
・たいていは「だるい」に丸がついている
 問診票を束ねて仕舞う
・「おはよう」の声が夕方交差する
 午後五時登校夜の学校
・カタコトで喋る生徒のプリントに
 仮名をふりたり平仮名にカナ
・折れた骨直して整えたる傘を
 ぽんっとひらいて吹きこむいのち 


第1歌集
コスモス叢書第1156篇
令和元年8月17日発行
A5判並製カバー装170頁
定価:本体2000円[税別]
装画/著者
装幀/真田幸治
 

 
生井和雄歌集
『雄峰』


多感な少年時代を栃木県那須郡馬頭町という所で過ごした。……雄大な那須連峰、近くの山々のなつかしい思い出から、この歌集の表題を「雄峰」とした。
(あとがき)


・「おーいお茶」ひとり居なれど言いたき夜
 春雷ひびく誕生日の夜
・新しき長靴はきしうれしさに
 子は水たまりの空をけちらす
・荷をとけば筍くるむ新聞に
 「しもつけ」とありふるさとを読む


第1歌集
2019年8月23日発行
四六判並製カバー装112頁
非売品
装幀/真田幸治
 

 
本多稜歌集
『六調』


旅にさすらい、歌に悦び、酒を愉しみ、
土にまみれ、家に安らぎ、山を愛す。
いま〈人生〉に息づいている。


・ドリアンの匂ふ街角トゥクトゥクの
 運賃を礼を尽くして値切る
・どこまでも母音は伸びて
 うたひたきことことごとく掛け唄となる
・「育てる」は他動詞なれど
 日に向かひひたに伸びゆく力よ力
・磨かざるゆゑの濁りのふくよかさ
 在るもの在るがままにあぢはふ
・遠吠えを三回真似て仲秋の
 月にむすめは礼をなしたり 
・雨なればこその語らひ
 山小屋に次に行く山その次の山


第4歌集
「短歌人」同人
2019年7月19日発行
四六判上製カバー装176頁
定価:本体2400円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
『藤原月彦全句集』

第18回鬣TATEGAMI俳句賞受賞

一九七三年、鮮烈に登場、
六冊の句集を遺し、
駆け抜けていった俳人の全貌。
世紀末へ向かう都市から
耽美的なる世界を創造、
烈しく言葉を揺さぶり、
常に尖鋭的であろうとした軌跡。

【収録句集】
『王権神授説』『貴腐』『盜汗集』『魔都
魔界創世記篇』『魔都 魔性絢爛篇』『魔都 美貌夜行篇

・夭折の兄かも知れず海螢
・睡りつつ他界を覗く嬰児かな
・みな死んでなほも雪ふる遠眼鏡
・獄窓に西日世界はいま悲運
・親友に欲情散華する花野
・兄を姉と呼ばねばならぬ夏の暮
・桜陰に兄と情夫の苦き蜜


2019年7月13日発行
四六判上製カバー装272頁
定価:本体3200円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
加藤隆枝歌集
『ハングルの森』


ハングルとの偶然の出会い、
その魅力に引き込まれ、
森の奥へ奥へと
手探りで進んでいく。
好奇心にきらめく
十五年の歳月、
読点を打つように
まとめた一冊。


・満開の湖岸の桜に吹く風は
 アンニョンヒカセヨと花びら散らす
・ひらがなを習いはじめし子のように
 看板の文字ハングルを読む
・隣国は寄せては返す波のごと
 近づきしのちまた遠ざかる


第4歌集
「短歌人」同人
2019年7月8日発行
四六判並製カバー装128頁
定価:本体1800円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
石神順子歌集
『春の燭台』


こうして歌集としてまとまった一冊を見ると、積極的に自分の道を切り拓き、歩んで来られた人であった事が窺えた。自分の目的に向かい屈する事なく進み、やり遂げる力を備えている人なのだと感じ入った。
(筑波笙子・跋より)


 序・福島美恵子

・冒険者たちの心のおののきを
 思いつつ任地バヌアツへ発つ
・さかのぼればわが家族にも「聖家族」の
 ような構図の一刻ありぬ
・裸木の木蓮に芽はこぞり立ち
 そらへあまたの燭台掲ぐ


第1歌集
「茨城歌人」「からたち」同人
茨城歌人会叢書 No.196
令和元年7月14日発行
A5判並製カバー装160頁
定価:本体2000円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
原田千万歌集
『嬬恋』


信濃に生活の根を張り、
樹や水のこゑに
耳をかたむける。
生と死、あるいは
生と詩を往還する
たゆたいやまぬ
〈われ〉という存在。
言葉に底流する詩想の結晶。


・神あまた棲むゆゑ森はふるさとの
 もつとも深きを占めてゐるなり
・信濃とは黄泉につながる国ならむ
 木々の葉つねにさわだちやまず
・ゆふやみのなかにほのほの花あかり
 ありて鞦韆ゆきかへりする


第3歌集
「短歌人」「さて、」同人
2019年6月20日発行
A5判上製カバー装124頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
高旨清美著
『雨宮雅子作品鑑賞 昼顔讃歌
 離教への軌跡

西欧的であり、
高雅、知的な香りを放つ雨宮雅子の
作品世界の魅力を
あますところなく描き取る。
神を求める熱いまなざし、
やがて離れてゆく軌跡。
長年私淑した著者が
寄り添うように鑑賞した
渾身の一冊。


『鶴の夜明けぬ』『悲神』『雅歌』『秘法』『熱月』『雲の午後』『旅人の木』『昼顔の譜』『夏いくたび』『水の花』、十冊の歌集の作品鑑賞、エッセイ「白はしたたか」「悠久を咲く昼顔」を収録。

「晶」同人
2019年5月24日発行
四六判上製カバー装222頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
小田部雅子歌集
『水と光』


教職を辞し、
茨城から静岡に転居。
大井川沿いの自然に包まれ、
明るく活動的な日々。
時に伝統技巧も試み、
時に厳しく時代を見つめ、
繊細というよりは逞しく
太々と温もりある歌群。
水と光に包まれた歳月と記憶。


・小雨ふるあした羽化せし熊蝉は
 生まれちまつて啼かねばならぬ
・冬の川しゆるる、しゆるるとながれをり
 流れゐるのはみづかひかりか
・かなしみはしんとしづかなゆふぐれの
 河原の石の陽のなごり熱
・こんなにもしつかり縫つてあるシャツが
 五○○円とは安すぎないか
・死の際に母性かへりてわが頭
 撫でくれし手の骨はいづれぞ


第3歌集
コスモス叢書第1153篇
2019年5月15日発行
四六判仮フランス装192頁
定価:本体2300円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
木村悦子歌集
『時計草咲く』


木村悦子さんの作品世界は家族で占められている。
老いゆく母、巣立ちゆく娘と息子、生れ出ずる孫たち、そしていつも傍らにいる夫と犬。
故郷、信州駒ヶ根への思いも深い。こんな木村さんの作品世界に一寸、立ち寄ってみませんか?
(高田流子)


・折々を妻母姑のカードきりて
 「人生ゲーム」のごとく暮らしつ
・夢の中のわれはいつでも故郷の
 山の小径に迷いておりぬ
・すこしずつ文字盤ひらく時計草
 ざわめく夏のはじまり知らず


第1歌集
「短歌人」同人
2019年5月2日発行
四六判上製カバー装214頁
定価:本体2200円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
野口三重子歌集
『雁金草』


 長年「茶」を学び、後年は「手話」も習得される「ガンバリヤ」さんである。ご自分の大病を克服されての今日だがご主人の看病も優しい。(略)子どもさんの独立の時、また八十歳の掉尾近くに置かれた「ありのまま生きて…」も前向きであることが嬉しい。
(平山公一・序より)


・ああ雁の渡る一声きくころか
 雁金草の花にふる雨
・深呼吸のちの点前座あかるみて
 三十人の御前に座す
・ありのまま生きてゆくのよ
 我のみの一度の人生いまの呼吸で


第1歌集
「潮音」同人
2019年4月25日発行
四六判上製カバー装172頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
九堂夜想句集
『アラベスク』


初めて「九堂夜想」の文字を見た瞬間、ぼくはこの名の主が虚構と幻想の論理を巧みに操れる曲者に違いないと察知し、それは確かに当たっていた。── 表 健太郎

・春深く剖かるるさえアラベスク
・墨界に蝶を釣らんと空し手は
・幻日を互みに游ぐ鏡文字
・冥婚の雨はオルガン地方より
・唄いつつ王母らはひく半過去を


第1句集
「LOTUS」同人
2019年2月24日発行
三五判並製カバー装108頁
定価:本体1700円[税別]
装幀/真田幸治