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武藤雅治歌集
『鶫』



無頼にはなれない、
含羞の日々。


作者と読者それぞれが、「相互想像」によって、「全世界」を創造してゆくような作品世界を、私は、私の短歌にも願望するのである。
(「あとがき」より)

・ぶらんこにふたりならんでゆれてゐる
 あのよの影とこのよの影と
・いもうとよおまへはいちど子うさぎを
 抱いて家出をしたことがある
・仁丹のにほひのやうになつかしい
 きみの言葉を思ひ出すなり
・歩みくる亡き母といま擦れちがふ
 微かににほふ樟脳の香よ
・たいせつな人はこの世にひとりだけ
 線香花火に息ひそめたり

第5歌集
「月光」会員
2014年12月8日発行
四六判並製カバー装144頁
定価:本体1900円[税別]
カバー写真/森崎竜次「天網」
装幀/真田幸治
 

 
武藤雅治句集
『かみうさぎ』



懐かしい未来へ、
戯れせむとや物語する。


私はただ、五七五の定型を借りて、ことばの断片(フラグメント)を、なにがしかの作品(テクスト)として表現した、ということだけを自覚している。
(「あとがき」より)

・よろしく白鳥の来てゐるアトリエ
・こんばんは濡れ煎餅の呂律かな
・原発にうつりにけりな瓜ふたつ
・抽斗の中にはたらく銀時計
・初しぐれ鏡のうらの貌に逢ふ

第1句集
2014年12月8日発行
四六判並製カバー装154頁
定価:本体1900円[税別]
カバー写真/添田君江「蓮沼」
装幀/真田幸治
 

 
深津禮二歌集
『二人旅』



『二人旅』は作者の自伝的要素の強い歌集である。そこには、一市民としての生涯を通して、誠実に精一杯に人生を歩んだ作者の姿がある。
(長谷川富市・跋より)

・「温泉が止まったすぐに来てくれ」と
 告げられ老はひた走りゆく
・十四日疲れきりたる老家族
 二十六人迎え入れたり
・写真にはいつも並んで二人あり
 人生の悲喜二人して老ゆ

第1歌集
2014年11月19日発行
四六判上製カバー装232頁
非売品(入手ご希望の方はお問い合わせください)
装幀/真田幸治

 

 
工藤京子歌集
『ポローニャの花』



都市の歌に限らず、総じて工藤さんの歌はさりげない。力みや妙な癖もほとんどないようである。
(山田富士郎)

ナルシシズムの強い内面吐露というより、モノに言わせる、景に言わせる詠法といえようか。
(小島熱子)

日常を凝視しながら日常を揺り動かす豊かな言葉によって、歌集のなかで時間は循環しているのである。
(安藤信廣)

・たちまちに乙女らきえて
 秋日さすテニスコートに黄の蝶がとぶ
・ポローニャの花咲く広場に
 タンバリン打ちつつ踊る祝婚歌きこゆ
・二メートル移動したことなど知らず
 待ち人は立つモヤイ像前

【栞】
山田富士郎*二メートルの移動
小島熱子*複眼的まなざし
安藤信廣*循環と新生

第1歌集
「未来」会員
2014年10月20日発行
四六判上製カバー装204頁
定価:本体2400円[税別]
装画/工藤範義
装幀/真田幸治

 

 
三島麻亜子歌集
『水庭』



うたい手にとってロマンスとは、人間ふたりだけでは不完全なもの、〈君〉の背後に超越的な第三者の気配を認めてこそ成り立つものなのだろう。
(佐藤弓生)

知性と情念、エロスとタナトスの陰翳を時間とともにすくいあげる清冽な詩情。
(奥田亡羊)

私はいつもどこからこういう言葉が生まれてくるのか、不思議に思いながら、その秘密はいまだに聞けないでいる。
(斎藤典子)

・サイレントモードに呼ばれ立つときの
 雨のつづきのやうな水庭
・ここだけに吹く風がある
 春あさき私設図書館 君を待ちをり
・ブラウスは弱き日差しを集めゐて
 ダム湖官舎の早陰る庭

【栞】
佐藤弓生*聖域のロマンス
奥田亡羊*陰翳の美しさ
斎藤典子*「恋」の匂いを纏う歌

第1歌集
「短歌人」同人
2014年10月20日発行
四六判上製カバー装210頁
定価:本体2400円[税別]
装画/三島俊輝
装幀/真田幸治

 

 
林歌子歌集
『漁り火』



著者・林歌子さんは、
旅館の女将として長く現役であられた。
厳しさと優しさと。
明朗にして爽快な、はじめての歌集。
(狩野一男・帯)

・中腹の平らな岩に夫と座し
 弁当食めば恋人めくも
・日の入りの祈りのごとく電線に
 鴉並びて皆西へ向く
・亡き夫の病む窓に見し漁り火の
 今も記憶にまがなしくあり

第1歌集
コスモス叢書第1053篇
2014年8月28日発行
四六判上製カバー装214頁
定価:本体2500円[税別]
装画/西村緑川
装幀/真田幸治
 

 
斉藤道子歌集
『珊瑚婚式』



斉藤さんの歌の多くは家族詠であり、それ以外では職場詠が多く詠まれている。妻として、母として家族をひたすら詠んでいる歌は、平凡になりがちであるが、斉藤さんの家族詠は、そういう平凡さとは無縁である。ありきたりの言葉に頼ろうとはせず、常に言葉を紡ぐことに手を抜かない姿勢のうかがわれる歌ばかりである。
(鈴木竹志・跋より)

・一人子の嫁ぎ行く日の決まりし夜
 なぜか夫は饒舌となる
・二世帯の家族時には
 ちぐはぐな思いに座る夜の食卓
・わが夫に添い来て三十五年経ぬ
 珊瑚婚式雪の降り出づ

第1歌集
「しののめ」会員
2014年8月12日発行
四六判上製カバー装194頁
定価:本体2400円[税別]
装幀/真田幸治

 

 
宮崎斗士句集
『そんな青』



詩が溜つているから
峠をどんどん歩いてゆく
鹿や狐や猪によく出会う
どつちも笑う
(金子兜太・帯より)

現代俳句新人賞受賞俳人の鮮烈な句集

・東京暮らしはどこか棒読み蜆汁
・桐咲けり日常たまにロングシュート
・バックミラーに向日葵今だったら言える
・鮎かがやく運命的って具体的
・切り株は優しい手紙とんぼ来る
・蓑虫にも僕にもぴったりくる雨音

【栞】
安西 篤「言葉の跳躍力へ」
塩野谷仁「感覚と喩と」
柳生正名「「おっぱい」という語感」
小野裕三「ひとりっきりのポストモダン」


第2句集
「海程」所属、「青山俳句工場05」編集発行人
2014年6月22日発行
四六判上製カバー装144頁
定価:本体2300円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
松村正直歌集
『午前3時を過ぎて』


第1回佐藤佐太郎短歌賞受賞
※品切れ


静まり返った時間、
生まれる思索。
歌への熱意は、
身体を躍動させ、
思いが溢れる。
迷路のごとき日々、30代半ばからの詩的結実555首。

・あたり前のように子のいる日常を歩いて
 しろき砂漠に来たり
・蛇行してながれる川を見ていたり
 金平糖のように疲れて
・三叉路に来て立ちすくむ少年の、
 あれは五歳のころの私か
・道を訊かれ道を答えるかかわりの
 淡く灯りて人ごみのなか
・日のあたる河原の小道
 かなしみは明日の方が濃いかもしれぬ

第3歌集
塔21世紀叢書第251篇
「塔」編集長
2014年5月24日発行
四六判上製カバー装232頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
大松達知歌集
『ゆりかごのうた』


第19回若山牧水賞受賞
※品切れ


短歌型式によってやわらかに描き取る新鮮な日々。
娘の成長に、笑い、驚き、戸惑い、喜ぶ。
これまでと違う時間が流れる。

・なにゆゑに妻の引きたる〈夕化粧〉
 ぬばたまの辞書の履歴に残る
・青春よおもひきり嫉妬すべしとぞ
 中間考査序列を渡す
・生徒らに起きろと諭し、
 みどりごに眠れと祈る、はつなつの風
・おまへを揺らしながらおまへの歌を作る
 おまへにひとりだけの男親
・ベビーカーをりをり止めて顔を見る
 生きてゐるわれが生きてゐる子の

第4歌集
コスモス叢書1055篇
「コスモス」選者・編集委員、「棧橋」同人
2014年5月16日発行
四六判上製カバー装190頁
定価:本体2400円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
染宮千鶴子歌集
『青き大氷河』
【グレイシャーブルー】


伴侶の急死から七年。いやしがたい喪失感は憑かれたように国内外の旅へと向かわせる。あらたな立脚点を希求しつつ眼にする旅先の光景と重なる心象風景。立ち直るまでのプロセスに歌があった。歌が存在することの喜びを感じさせる一冊。
(三井ゆき)

・吸ひ上げし塩多ければ葉を落とし
 マングローブは汽水に生きる
・煮上がりし喜知次をそつと皿に乗す
 かかるやさしさひとには見せず
・この旅も遍路の思ひ遠くきて
 ふたりたどりし道をいまゆく

第3歌集
「短歌人」同人
2014年3月16日発行
四六判上製カバー装198頁
定価:本体2300円[税別]
装幀/真田幸治
装画/井村光男
 

 
今井千草歌集
『パルメザンチーズ』


雪の野をさらにふりつむゆきのよう
パルメザンチーズシチューにふるは

日々の暮らしに
少しのコクと風味を添えて、
いますこしこの世の餐を
味わっていたい……。

・口をすぼめてホットミルクの表面に
 さざなみたたすは小さき喜び
・廃校のさくらもみじは散りながら
 冬眠のまま死ぬ熊もいる
・節電令緩徐となりて
 新宿は動く歩道が動きはじめつ

第2歌集
「短歌人」編集委員
2014年3月5日発行
四六判上製カバー装188頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
紀水章生歌集
『風のむすびめ』


事物に対する批評性、あるいは普遍的な問いかけのある歌は、独自の淡彩な作風の中で、現に時代を生きている作者の存在が伝わってくる良さがある。
(大塚寅彦・解説より)

・はなみづきはなみづきすきとほりたり
 こがれこがれてすきとほりたり
・ひと言で気持ちは変はる春嵐の
 過ぎて晴れ間をゆく飛行船
・栗の木に風のちからの満ちてきて
 昔ばなしのみづぎはとなる

(きみ しょうせい)
第1歌集
中部短歌会叢書第271篇
「中部短歌」同人、「塔」会員
2014年2月22日発行
四六判上製カバー装182頁
定価:本体2400円[税別]
装幀/真田幸治
挿画/misao
 

 
助川とし子歌集
『菩提樹のアルト』


歌集全体から風土が育んだであろうとおもわれる人柄のようなものが浮かびあがってくる。そこには苛烈な自然をしのぐ忍耐力や、時代に流されない質実、おおらかで骨太なユーモアなども含まれていて、東北の重力といったものをつくづく感じさせる。題名の一首のように、軽くなりがちな内容をこのように歌い収めるところなどもそうしたこととつながっていそうだ。
(三井ゆき・跋より)

・菩提樹のアルトのパートはわれひとり
  バスの重量に吸ひ込まれさう
・転校は五回引越し十回の
 別離の数の憂ひ子はもつ
・ひとたびも兄妹喧嘩なさざりしわれらを
 誰も信じてくれぬ

第1歌集
「短歌人」同人
平成26年2月10日発行
四六判上製カバー装232頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
高松可祝歌集
『道祖土』【さやど】


都会にあって故郷を思うのでなく、実際にその地にあって、繰り返される生活をうたう新鮮さがある。都市との往還の中に故郷の歌が作られていることによって、高松さんの歌は豊かさと深さをもつ。
(内藤明・跋より)

・時かけて造りきたりし本の数
 背文字かぞへて書庫のドア閉づ
・椿咲く樹下に洞あり
 少女期の花のしとねはひんやりとする
・生れたてのいのちなりけり
 蜘蛛の子は金の粒子となりてはじける

(たかまつ かしゅく)
第1歌集
音叢書
2013年11月11日発行
四六判上製カバー装176頁
定価:本体2200円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
伊藤冨美代歌集
『まはりみち』


・退職の知らせ届きぬ
 いくたびもひとに継がれし椅子古びしか

私が心底いいなと思ったのはこういう作品である。椅子はもしかするとかつて著者が座っていた椅子かも知れない。人ではなく椅子に思いを強く寄せているところがユニークで味わいがある。
(中地俊夫・跋より)

・うから四人朝な夕なに囲みゐし
 黄のテーブルの失せて幾年
・身辺にこと多けれど過ぎされば
 ひとつながりの真珠と思ふ
・放射状に眼鏡は人を待ちわびて
 ガラスの棚に夕ぐれはくる

第1歌集
「短歌人」同人
2013年11月28日発行
四六判上製カバー装202頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
室井忠雄歌集
『柏の里通信』

日本歌人クラブ
北関東ブロック優良歌集賞


室井忠雄さんの歌は平易、明快。この歌集にはわからない歌はただの一首もない。たっぷり墨をふくませた大きな筆で紙面いっぱいに大らかで伸び伸びした楷書の字を書く。気持ちいいこと無類である。たくまざるユーモアと男のペーソスがそこはかとなく滲みだす。読んで元気になれること、請け合う。
(小池 光)

・四人子を育てて残りの銭あらば
 妻と小さな家をつくらん
・那珂川に打ち込みにけるホームランボールは
 水戸まで流れゆくらし
・にわとりの卵の殻はつぶされて
 運動場の白線となる

第2歌集
「短歌人」同人
平成25年12月9日発行
四六判上製カバー装240頁
定価:本体2500円[税別]
装画/松原 賢
装幀/真田幸治
 

 
松村正直 著
『高安国世の手紙』


ドイツ文学者であり歌人である高安国世。
残された数多の手紙を手掛かりに、
友人たちとの交流、
家族とのふれあいの一端を描き取る。
人間高安国世の素顔を浮き上がらせ、
言葉と時代の関わりを見据えた更なる地平に到達する評伝。

「塔」の3年間にわたる連載を大幅加筆。
高安国世生誕100年記念出版!

[本書の内容]
1 旧制甲南高等学校/2 阪神間モダニズム/3 一九三四年/4 喘息とまんだらげ/5 外国留学/6 召集令状 / 7 「日本少年」と榎南謙一/8 榎南謙一を探して/9 リルケと『ロダン』(岩波文庫)/10 野間宏/11 家族旅行/12 長男国彦と疫痢/13 富士正晴と『若き日のために』/14 野間宏ふたたび/15 勤労動員/16 昭和二十年/17 戦争とドイツ文学/18 『Vorfruhling』と検閲/19 石本家と戦後女性の生き方/20 姪 島崎美代子/21 三男醇と聴覚障害/22 誠実の声/23 近藤芳美と東京/24 「高槻」「関西アララギ」/25 諏訪雅子さんのこと/26 「塔」創刊と結社という問題/27 原爆と広島/28 杉浦明平/29 ドイツ留学と北極空路/30 六〇年安保とデモ/31 女子学生エリカ/32 現代歌人集会と運転免許/33 京大短歌会と永田和宏/34 高安山荘/35 本郷義武の死/36 画家高安醇/37 わが病むを知らざる人ら/38 高安国世文庫と内田義彦文庫


「塔」21世紀叢書第231篇
2013年8月11日発行
四六判上製カバー装412頁
定価:本体3000円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
花鳥佰歌集
『しづかに逆立ちをする』


いちじくの木に芥川龍之介棲みついて
葉越しに蒼き首筋の見ゆ

……純粋にイメージから出来た歌で、芥川龍之介のかの異常なる鋭敏な感覚にいちじくの木を配して、その首筋まで想像力が及んだ。大いにユニークかつ斬新である。「葉越し」がいいところを掴まえている。
(小池 光・栞より)

・純白のバスローブにくるまれをれば
 こはいものなにもないのだわたし
・びんたくらはす弟が欲し
  「ねえちやん」と大声に泣くやうなのがいい
・九月の陽のむごきまで熱き午後なれば
 ひとりしづかに逆立ちをする

【栞】
石井辰彦*「こはいものなにもない」歌人
川野里子*生の拠点
小池 光*好きなうた十首


第1歌集
「短歌人」同人
2013年8月17日発行
四六判上製カバー装230頁
定価:本体2500円[税別]
装画/アンリ・ルソー
装幀/真田幸治
 

 
西沢みつえ歌集
『閲覧室』


感情を過剰に押しつけることなく、今を生きている人間、それもまじめに生きている生活者の姿が、シンプルだが、的確に表現されている。そして、その背後にあるであろうさまざまな葛藤や時代の変化が感じられる。
(内藤 明・跋より)

・司書になる希望いだける女子学生
 楽しきことはとわれに問いたり
・参道をすれちがう人も二人づれ
 母と連れだち墓参りする
・路地に立つ子らがはじけて見えし町
 たしかに吾が育ちしところ


第1歌集
音叢書
平成25年7月25日発行
四六判上製カバー装182頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
泉慶章歌集
『離岸流』


パプアニューギニア、
シベリア、欧州、
そして日本、
行動する歌人は、
混沌から抜け出さむため、
言葉の力を甦らせ、
〈世界〉を照射する。

・海鞘食へば氷の土地の人々と
 生活をする感触にあり
・あをあをと素粒子ひとつとぶ時に
 キナバル山の石楠花ひらく
・地球儀に黒黴生えたところから
 破れ始めて世界の終り


第1歌集
「短歌人」同人
2013年4月24日発行
四六判上製カバー装132頁
定価:本体2000円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
さいかち真歌集
『浅黄恋ふ』


土屋文明の反語的精神を継承し、
岡井隆の韻律美学に学んだ
著者の渾身の一冊。
十年ぶりの第三歌集。

・憂くてわがいそぐ二月の細道に
 まなかひさして鶯神楽
・はかなごと夢に揺らして明けゆけば
 声移りつつ遠鳴く烏
・この家のケムク・ジャラン氏
 子供らに恐れられつつキムチを喰ひぬ


第3歌集
「未来」会員、「美志」発行人
2013年4月8日発行
四六判上製カバー装220頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
田中あさひ歌集
『まひまひつぶり』

日本歌人クラブ東京ブロック優良歌集賞
第6回日本短歌協会賞 次席


単なる写実を超えた現代短歌にふさわしい修辞上の必然として、それらの植物や動物を一首の中にとりこんでいる。だからこそ、そこにこの歌人ならではの個性が生まれることになる。
(藤原龍一郎・跋より)


・ちやきちやきと都家かつ江に叱られて
 不幸でもなき昭和のをとこ
・しらまゆみ春は能吏が引き寄せむ
 滞りなく来る納税通知
・百合ノ木の枯葉を踏めば
 眉ふとき少女のわたしが坂のぼり来る


第1歌集
「短歌人」同人
2013年3月30日発行
四六判上製カバー装166頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治
 

 
大橋弘歌集
『USED』


現代短歌への果敢な試み、
そして新たな表現の模索、
著者10年ぶりの新歌集。


・お駄賃を貰える雲と貰えない
 雲生きてます平気です、ただ
・奥に詰めてくださいこれでは乗れません
 ルピナス型に枯れてゆきます
・だれひとり棲まなくなった東京が大好き
 朝のベッドを、出ないで


第2歌集
「桜狩」会員
2013年3月4日発行
四六判並製カバー装104頁
定価:本体1800円[税別]
装幀/真田幸治
カバー写真/?GO-KUU?Hiroshi Ohashi
 

 
荒垣章子歌集
『虚空の振子そらのふりこ』


森岡貞香の「石疊」で長く研鑽を積んだ作者の第五歌集。師譲りのするどい感性と、大胆で奔放な表現は、ときに定型を突き抜けて、自在に虚空に鳴り響く。亡き子を偲ぶ、まことの悲哀は、通奏低音となって歌集をふかく支えて止まない。ときにユウモラスな逸脱を許すところも作者の今日の達成がある。
(小池 光・帯より)


・泳ぎつつ恍惚とせる時ありて
 七十年を生きてきたりぬ
・亡き息子が種より育てし柿の実の
 甘し甘しサカエの大バカ
・分身のごとき裏山の洞穴に
 ああ滅茶苦茶の思ひがひそむ


第5歌集
「夏至」同人、「短歌人」会員
2013年1月29日発行
A5判上製カバー装166頁
定価:本体2500円[税別]
装幀/真田幸治